トマトのヘタを取るのは、世間一般の常識。
なぜなら、トマトのヘタには食中毒の原因となる大腸菌が多く付着しているからです。
一方で、実際には大腸菌などの危険な菌は検出されなかったという結果もあります。
はたして、どちらが正しいのでしょうか?
この後、詳しく解説します。
トマトのヘタを食べてはいけない理由
トマトのヘタを食べてはいけない理由として、以下の2つのキーワードがあげられます。
- 大腸菌
- トマチン
1の大腸菌は、食中毒で有名なO157の一種として有名です。確かに、こんな話を聞いたら不安になりますよね。神経質な方だと、ヘタを取っても生食では安心できないかもしれません。
実際にヘタを取って水洗いすることで、大腸菌が大幅に減少したという実験データもあります。
参照:文部科学省資料『検収室・下処理室における衛生管理&調理技術マニュアル』
次に2のトマチンについて。
これは、ジャガイモの芽に含む毒性成分として知られる、グリコアルカロイドの一種とのこと。
ただし、致死量に至るには一度に4トン(4,000kg)分のトマトを摂取する必要があるので、トマチンに関しては気にする必要はありません。
問題は、食中毒の原因となる大腸菌です。これについて、考察していきます。
お弁当のミニトマトで食中毒?
お弁当のミニトマト、ヘタ付きのまま入れてませんか?実はこれ、とても危険な行為です。
生のトマトを入れたお弁当を常温で放置しておくと、ヘタの部分の大腸菌が温度が上がることで増殖し、食中毒を起こしやすくなります。
なので、お弁当にミニトマトを入れるときは、必ずヘタを取るようにしてください。
トマトの大腸菌数を調べた結果
ここまで、トマトのヘタは食中毒の元凶であるという話をしてきました。
一方で、逆のデータも存在します。
農林水産省が生野菜に使われるトマト、レタス、キャベツ、きゅうりについて、食中毒件数が多い初夏から秋にかけて、腸管出血性大腸菌(O157及びO26)、サルモネラ菌、大腸菌数を調べました。
すると、食中毒の原因菌である、腸管出血性大腸菌(O157 及び O26)もサルモネラ属菌に関しては、検出されませんでした。
つまり、誤ってトマトのヘタを食べたり、ヘタを取らずにお弁当に詰めて食べてしまったところで、食中毒症状を引き起こす可能性は低そうです。
腸管出血性大腸菌(O157 及び O26)もサルモネラ属菌が検出されなかった一方、大腸菌は検出されたそうです。ただし、大腸菌のほとんどは、ヒトへの健康被害はほとんどありません。
また、この大腸菌にしても、トマトより、レタスやキュウリの方がはるかに多く検出されているので、「トマトのヘタよりむしろ、レタスやキュウリの生食を避けた方がいいのでは?」という話になってきます。
結局、トマトのヘタは食べてもいいの?
農林水産省のデータを見せられると、トマトのヘタをそこまで神経質に避ける必要はないようにも思えます。
ただし、今回たまたま検出されなかっただけで、稀に危険な菌が混ざっている可能性もゼロではありません。また、大腸菌が検出されたのは事実です。大腸菌の一部には下痢や腹痛を引き起こすものもあるようですので、ヘタは取るに越したことはありません。
とは言っても、トマトのヘタを間違って食べてしまったところで、食中毒を起こす可能性はほとんどないので、気にしなくて大丈夫です。
お弁当の場合、トマトのヘタを取ればいいという話ではなく、食中毒を気にするなら生野菜そのものを避けるべきです。特にレタスなどの葉物野菜は水分が多いので菌が増殖しやすく、生でお弁当に入れるのは避けるべきです。
結論として、トマトのヘタが不衛生なのは事実だが、そこまで神経質になる必要はないということでした。
まとめ
以上、トマトのヘタを食べるのは危険かについてお話しました。
農林水産省の調査結果から、食中毒の原因である腸管出血性大腸菌(O157 及び O26)もサルモネラ属菌は検出されませんでした。一方で人体に害を及ぼすことが少ないとされる大腸菌の検出はありましたが、菌の数からいえば、キュウリやレタスの方が多いくらいでした。
なので、間違ってトマトのヘタを食べてしまっても、生のキュウリやレタスを食べても平気なように、食中毒の心配はしなくてよいでしょう。
もちろん、ヘタ部分に菌が集中しているのは事実ですし、栄養的にもメリットがないので、調理の際は取るようにしましょう。