糖質の中でも特に有害だとされているのが白砂糖。
「黒砂糖、はちみつ、果物ならOK!白砂糖だけは摂るな!」と主張も見られます。
白砂糖はなぜ、そこまで嫌われるのか?また、本当に危険なものか?
肯定派・否定派双方の主張を取り上げ、白砂糖有害論の嘘・本当を検証していきます。
白砂糖有害論5つの嘘
白砂糖有害論としてネットや書籍で広く紹介されている5つの仮説とそれらの誤りを解説します。
白砂糖は危険、三温糖なら安全
「白砂糖はダメで三温糖は良い」という意見の信憑性を検証するために、両者の違いを見ていきます。
三温糖には白砂糖よりも、カリウムとカルシウムの含有量がやや多めです。100g中に含まれる成分で比較すると、白砂糖はカリウム2mg・カルシウム1mg に対し、三温糖は カリウム13mg・カルシウム6mg です。
この数値だけ見ると三温糖の方が健康的に見えますが、1日の必要量(カリウム 2,500mg 、カルシウム600mg )を考えれば微々たる量であり、この差が健康に大きな影響を与えるとは考えられません。
また、白砂糖は三温糖より危険であるという科学的根拠や研究報告は存在しないので、この主張は誤りです。
白砂糖は漂白している
「白砂糖が白いのは薬品で漂白しているからだ」という主張もあります。
しかし、白砂糖は原料のサトウキビを精製し不純物を取り除いたために白くなっているのであり、その過程で決して漂白剤などの添加物は使われていません。
いわゆる白米と玄米の違いのようなもので、白砂糖と黒砂糖の違いは、不純物が含まれているか否かの違いでしかないのです。
白砂糖は虫歯の原因
「白砂糖を食べると虫歯になる」という昔からの都市伝説がいまだに根強く支持されています。
しかし、虫歯の原因は歯に溜まった歯垢(プラーク)に虫歯菌が集まることであり、砂糖に限らず、全ての食べ物が関与します。
食べかすや飲食物を起因とする汚れなどの磨き残しがあれば虫歯を発生させてしまうので、正しい虫歯対策は砂糖を減らすことではなく、歯磨きを完璧にすることです。
白砂糖はビタミンB1とカルシウムを奪う
白砂糖はビタミンB1やカルシウムを奪うという説も広まっています。
白砂糖は酸性食品のため、体に傾いた酸性を中和するためにカルシウムを奪うというものです。しかし、人間の身体は血液を中性に保たれるようになっており、酸性に傾くことはありません。なので、砂糖がカルシウムを奪うことはないのです。
また、ビタミンB1については、確かに糖質が消化される過程でビタミンB1を奪う性質があり、摂り過ぎればビタミンB1が大量に失う危険があるのは事実です。ただ、それは白砂糖に限らず、黒砂糖でも玄米でも糖質であれば皆同じことなので、白砂糖だけを悪者扱いするのはおかしいです。
砂糖でキレやすくなる
「白砂糖を食べた子供はキレやすい」というのも、最も有名な白砂糖有害説の一つです。
白砂糖でキレるのは、急上昇させた血糖値を下げるためにインスリンが過剰分泌し、低血糖状態になることで精神的に不安定になることが原因とされています。
しかし、キレやすくなるのは血糖値だけでなく、積み重なるストレスや栄養不足など複雑に絡んでおり、白砂糖を止めたから、すぐに改善するわけではありません。
もちろん摂り過ぎはよくありませんが、砂糖を極端に制限するよりは、栄養バランスやストレス対策をする事の方が効果的です。
白砂糖の摂り過ぎで起こる深刻な症状
白砂糖有害説の誤りを指摘し極度に避ける必要はないと述べましたが、摂り過ぎは禁物です。
摂り過ぎがよくないのはどの食品にも言えることですが、特に砂糖の場合はタバコと同様に中毒性があり、知らぬ間に糖尿病などの重篤な病気に発展する危険性があります。
ここでは、砂糖を摂り過ぎが引き起こす深刻な症状を取り上げます。
砂糖中毒
砂糖の一番怖いところは、中毒性にあります。甘いものは脳に快楽を与えるのですが、これが麻薬や覚せい剤で快楽を得るのと同じ仕組みなのです。
食べ始めると止まらなくなり、気付かないうちに大量の砂糖を摂取してしまうのです。お菓子を止められず、一袋全部食べ切ってしまったという経験のある方も多いと思います。
こうして砂糖中毒になると、砂糖がないといられなくなり精神不安定になるのはもちろん、摂り過ぎによる身体への深刻なダメージにもつながりかねません。
これは砂糖だけでなく、ご飯やパンなど甘い物であれば全てに起こり得ます。
一度砂糖中毒に陥ると自分で治すのは難しいので、専門の医療機関に相談してください。
糖尿病
砂糖は血糖値を激しく乱高下させる性質があるので、糖尿病のリスクを高めます。特に白砂糖(三温糖)は、その傾向が強く危険です。
乱高下の強さを示す指標にGI値があります。白砂糖109(三温糖108)、黒砂糖99、食パン91、ふそkはちみつ88、白米84 なので、白砂糖が突出しています。
もちろん摂り過ぎなければ大丈夫ですが、前述のように砂糖には依存性があるので、容易に摂り過ぎしてしまいます。
砂糖中毒で糖尿病になり、放置しておけば命に関わってくるので、甘いお菓子が止められないという人は、すぐに処置を講じる必要があります。
身体の不調
糖質の消化過程でビタミンB1が使われるので、過剰摂取すれば大量に奪われ、ビタミンB1不足に陥る可能性があります。ビタミンB1不足により疲れやすくなったり、食欲がなくなるなどの不調に襲われます。元気に毎日を過ごすためにもビタミンB1は欠かせません。
砂糖の血糖値を乱高下させる性質があり、乱高下を繰り返していると、膵臓が正常に機能しなくなり、眠気や疲れやすさ、集中できないなどの全身症状に見舞われる場合があります。さらに、血糖値が急降下したときに低血糖発作を起こし、意識障害を起こす危険性もあります。
私もお菓子が止められずに大量の砂糖を摂取していたときは、疲れやすかったり、身体がだるかったりと生活に支障をきたす程でした。お菓子を止めたとたん、これまでの体調不良が嘘のように吹き飛んだことで、砂糖を摂り過ぎる危険性を身をもって痛感しました。
白砂糖の摂り過ぎを防ぐコツ
白砂糖を始めとした砂糖類は適量であれば問題ありませんが、摂り過ぎると体に大きなダメージが及びます。しかし砂糖は中毒性があり、一旦ハマると抜け出せなくなるのです。ここでは、比較的楽に砂糖の食べ過ぎを防ぐ方法をご紹介します。
食物繊維を一緒に摂る
一番有効なのは食物繊維と一緒に摂ること。食物繊維を摂ることですぐに満腹を感じられるので、お菓子の量も自然に減らせます。
また、砂糖と食物繊維を一緒に摂れば、糖尿病や体調不良につながる血糖値の乱高下を防いでくれるので一石二鳥です。
蜂蜜や果物で代用する
どうしても砂糖が止められない人は、砂糖代わりに蜂蜜や果物を食べてみてください。
蜂蜜・果物は血糖値の上下が穏やかなので、例え摂り過ぎても砂糖ほどの害はないですし、糖質に加えて繊維も多いので、甘いお菓子みたく無制限に食べ続けるのは難しいです。
安全な上に砂糖と同レベルの甘さがあるので、お菓子を食べなくても満足できます。私が砂糖依存から抜け出せたのも、蜂蜜と果物のおかげです。
3日間だけお菓子をストップする
悪い癖から抜け出すには、短い期間でもいいから一旦負の連鎖を断ち切ることが重要です。
「今日こそやろう、今日こそやろう」と思っても、結局やらずに長い月日が過ぎてしまったという経験は誰しもがあるはずです。長く続いてしまった悪い習慣を変えるのは容易ではありません。
そこで、3日間だけでもお菓子を我慢すると、意外と容易に継続できるものです。習慣づけてしまうことが何よりも重要なのです。
まずは、3日間から始め、慣れたら1週間、2週間と徐々に長くしていくことで、だんだん砂糖を欲しがらなくなり、最終的には砂糖依存からの脱却に成功します。
まとめ
一部の専門家が指摘する白砂糖有害論は誤りが多く、白砂糖だけを極端に避ける必要はありません。
もちろん摂り過ぎは大きな病気の原因となり危険ですが、料理に使う分には何ら問題ありません。
砂糖は少量であれば脳に快楽をもたらし、“やる気” の源になります。
無駄なお菓子に手を出さず、料理の味付けとして楽しむ程度にするなど、砂糖と上手に付き合いましょう。
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