2024年11月28日、CICが提供を開始した「クレジット・ガイダンス」をきっかけに、X(旧Twitter)で「#信用スコアバトル」なる謎のイベントが勃発しているようです。
今回は、「クレジット・ガイダンス」の真の目的と、信用スコアをSNSで開示することの
危険性について解説していきます。
信用スコアとは?
信用スコアとは、個人の信用度を数値化したものです。
従来の信用情報では、主に年収や資産、借入状況、返済履歴といった情報から、個人がお金をきちんと返せるかどうかを判断していました。
信用スコアでは、これらの情報に加えて、より多様なデータが活用されます。例えば、
- 携帯電話料金の支払い状況
- 公共料金の支払い状況
- ショッピングサイトでの購入履歴
- SNSでの活動履歴
などが分析され、個人の信用力を総合的に評価します。
信用スコアは、クレジットカードの審査やローンの貸付など、金融機関が個人の信用力を評価する際に利用されるケースが増えています。また、近年では、賃貸住宅の契約や就職活動など、幅広い分野で活用され始めています。
信用スコアが高いほど、金融機関から融資を受けやすくなったり、低い金利でローンを組めたりするなど、様々なメリットがあります。逆に、信用スコアが低いと、融資を断られたり、高い金利を課せられたりする可能性があります。
従来、日本では、個人の信用情報は、主に指定信用情報機関と呼ばれる民間企業によって管理されてきました。これらの機関は、クレジットカード会社やローン会社などから提供された個人の借入・返済履歴などの情報を収集し、加盟する金融機関などに提供しています。
アメリカでは信用スコア=人間の絶対値
アメリカでは、信用スコアが個人の信用力を測る上で非常に重要な指標となっており、生活の様々な場面で利用されています。そのため、「信用スコア=人間の絶対値」と捉えられるほど、大きな影響力を持っていると言えるでしょう。
クレジットカードの発行、ローンの借り入れ、住宅の賃貸、保険の加入、さらには就職活動に至るまで、信用スコアは重要な判断材料となります。スコアが高いほど、有利な条件で契約を結べる可能性が高くなり、低い場合は不利になる可能性があります。
日本では公的な算出はされてこなかった
日本では、これまで公的な機関が信用スコアを算出・提供することはありませんでした。
民間の貸金業者が独自のAIを用いて、申込者をスコアリング審査をするという形は
取られていたが、国が公的に算出することはしてきませんでした。
「クレジット・ガイダンス」始動! 日本の信用スコアはどう変わる?
しかし、近年、金融サービスの多様化やデジタル化が進展する中で、より包括的な信用評価の必要性が高まっています。
そのため、民間企業が独自の信用スコアを提供する動きが活発化しており、CICが2024年11月28日から「クレジット・ガイダンス」という信用スコアの提供を開始しました。
また、政府も、信用スコアの活用による金融包摂の推進などを目指し、2023年6月に「金融審議会 フィンテック・ワーキング・グループ報告」において、信用スコアの在り方に関する検討の方向性を示しています。
今後、日本においても、信用スコアがより広く活用され、個人にとってより身近なものになっていく可能性があります。
「クレジット・ガイダンス」とは?
「クレジット・ガイダンス」は、CICが提供する、個人の信用情報をスコア化して可視化するサービスです。
従来、信用情報はローン審査など限られた場面でしか利用されませんでしたが、「クレジット・ガイダンス」によって、個人が自身の信用力を把握し、改善するためのツールとして活用できるようになりました。
しかし、X(旧Twitter)では、このスコアを競い合うかのような「#信用スコアバトル」が展開されているようです。これは、信用スコアの正しい理解を欠いた、非常に危険な行為と言えるでしょう。
信用スコアをSNSで開示することの危険性
信用スコアをSNSで公開することには、以下のようなリスクが考えられます。
- 個人情報の漏洩: 信用スコアは、氏名、住所、生年月日などの個人情報と紐づいています。スコアを公開することで、これらの情報が悪用される可能性があります。
- 詐欺の標的: 高い信用スコアを公開している人は、詐欺師にとって格好の標的となります。「融資保証金詐欺」や「フィッシング詐欺」などに遭う可能性が高まります。
- なりすましのリスク: 信用スコアの情報が盗まれ、なりすまし被害に遭う可能性があります。
- プライバシーの侵害: 信用スコアは、個人の経済状況や生活状況を反映した非常にプライベートな情報です。公開することで、プライバシーが侵害される可能性があります。
信用スコアと「ヘイト」- 新たな差別や偏見を生み出す可能性
信用スコアは、個人の過去の金融取引や返済履歴に基づいて算出されます。しかし、スコアが低いからといって、その人が「信頼できない」「人格的に問題がある」と判断するのは早計です。
スコアが低い背景には、病気や失業など、様々な事情が考えられます。信用スコアを 個人の価値を判断する基準 として使用することは、新たな差別や偏見を生み出す可能性があります。
とは言え人間は嫉妬深く、競争心や排除しようとする意志が強く出で生物です。
安易にSNS開示すれば、健全な経済活動を阻害する可能性があります。
以下は、受けるであろう「ヘイト・レッテル」の一例です。
- 低スコア者への蔑称:
- 「スコカス」:スコアが低いカスという意味の蔑称。
- 「信用ゴミ」:信用がない、価値がない人間という意味の蔑称。
- 「クレジッター」:クレジット(信用)がない者の蔑称。
- 低スコア者への差別的発言:
- 「スコアの低い奴は人間以下」
- 「信用できない奴は社会のお荷物」
- 「低スコア者は生きる価値なし」
- 特定の属性と低スコアを結びつける:
- 「○○(地域名)の人はスコアが低い」
- 「○○(職業名)は信用できない」
- 「○○(年齢層)は返済能力が低い」
これらのヘイト・レッテルは、信用スコアを 個人の人格や尊厳を否定する ために利用しており、非常に悪質です。
このようなレッテル貼りは、差別や偏見を助長し、社会全体の分断を招く可能性があります。
信用スコアはあくまでも 経済的な指標 であり、個人の価値を判断するものではないことを忘れてはなりません。
そして、重要な個人情報「センシティブ情報」になりうるということも忘れては
いけません。
いずれクレジットスコアを盾についたハラスメント行為
「スコアハラスメント(スコアハラ)」なんていうのだって起きる
可能性は十分にあります。
安易なスコア開示は馬鹿を見ると思っておきましょう。
信用スコアと上手に向き合うために
信用スコアは、個人の経済活動を円滑に行うための重要な指標です。
しかし、その重要性を正しく理解し、適切に管理することが大切です。
SNSでの安易な開示は避け、個人情報の保護に十分注意しましょう。
また、「クレジット・ガイダンス」などのサービスを活用し、自身の信用力を把握し、計画的な経済活動を行うように心がけましょう。