YouTube動画で広告配信して収益を得るためには、YouTube向けの有効なアドセンスアカウントが必要です。
ただし、このYouTube向けのアドセンスは一般的なGoogleアドセンスとは異なる特性を持っています。
今回は、多くの人が混乱しやすいYouTubeの収益化の仕組みと、アドセンスとパートナープログラムの違いについて説明します。
YouTube向けアドセンスとGoogleアドセンスの違いって?
YouTubeで収益化を目指す方々の中には、YouTube向けアドセンスとGoogleアドセンスを混同している
例がよく見られます。
確かにYouTubeパートナーシップに申請・契約する際には、Googleアドセンスアカウントが必要ですので、
無関係ではありませんが、YouTube向けアドセンスとGoogleアドセンスは全く別のサービスであることを理解しておくべきです。
YouTube向けアドセンスとGoogleアドセンスの違いは以下の通りです。
Googleアドセンス
Googleアドセンスは、Googleが提供するディスプレイ広告サービスで、ウェブサイトの収益化に役立ちます。サイトにGoogleアドセンスを設置すると、訪れたユーザーのCookieに基づいた広告や、そのページの内容に合わせた広告が自動的に表示されます。
ユーザーが広告を表示またはクリックするたびに収益が発生する仕組みです。
Googleアドセンスでは、掲載時にサイトの審査が必要になります。
YouTube向けアドセンス
YouTubeパートナープログラムの収益化モジュールによる収益の支払を管理・分析し、YouTube内のディスプレイ広告のクリエイティブ(広告内容)をコントロールするための独立したアカウントとして、YouTube向けアドセンスは2022年3月より段階的に導入されました。
YouTubeパートナーが使える収益化モジュールには以下が含まれます。
- ディスプレイ広告
- ショートフィード広告
- Super Chat
- Super Thanks
- メンバーシップ
- ショッピング
- YouTube Premiumの分配金
Googleアドセンスアカウントは、YouTube向けアドセンスとして独立しており、これらの収益の受け取り口となります。 YouTube上で動画広告を表示し、再生回数に応じて収益が生じます。
動画広告はYouTubeのコンテンツに応じて自動的に選択されます。YouTubeパートナープログラムには、
いくつかの条件があり、それらを満たさないと参加できません。
特に難しいのは、「公開動画の総再生時間が直近の12ヶ月間で4000時間以上」または、「直近90日間の有効な公開ショート動画の視聴回数1,000万回」のいずれかの条件をクリアすることであり、これらの条件を達成するには、YouTubeチャンネルで継続的に力を入れた活動を長期間行う必要があります。
YouTubeパートナープログラムの収益化機能
YouTubeパートナープログラムは、YouTubeに広告を表示して収益を得ることができるサービスとして有名ですが、広告以外にもさまざまな収益化の機能を提供しています。
ここではYouTubeパートナープログラムが提供する5つの収益化の手段を紹介しましょう。
- ディスプレイ広告
- ショートフィード広告
- Super Chat
- Super Thanks
- チャンネルメンバーシップ
- ショッピング
- YouTube Premiumの分配金
広告収益
YouTubeパートナープログラムでは、収益を得るためにYouTube内のさまざまな箇所に広告を表示させます。再生回数に応じたインストリーム広告が主力であり、他にもオーバーレイ広告やディスプレイ広告も存在します。
ショートフィード広告
ショートフィード広告は、ショート動画とショート動画の間で配信される広告の収益を、
ショート動画の再生回数や再生時間に応じて分配する収益化機能です。
ショート動画の再生回数や総再生時間が増えるほど、分配率も上昇していきます。
チャンネルメンバーシップ(メンシ)
YouTubeのチャンネルメンバーシップは、視聴者が月額料金を支払うことでチャンネルをサポートする仕組みです。月額料金は最大6000円までと制限があり、参加したユーザーには会員特典が提供されます。会員特典には、会員限定の動画やライブ配信への参加、チャット時に表示されるメンバー専用バッジなど、さまざまな恩恵があります。
仕組みとしてはニコニコの有料チャンネルと同じです。
Super Thanks・Super Chat と Super Stickers
Super Thanksは、視聴者(リスナー)が感謝の気持ちを表すために使用できる投げ銭システムです。
ファンは、一度だけ表示されるアニメーションを購入し、動画のコメント欄にカラフルで目立つカスタマイズ可能なコメントを投稿することができます。
Super ChatとSuper Stickersは、ライブ配信やプレミア公開中にクリエイターとファンをつなぐ投げ銭機能です。これらは一般的に「スパチャ」と呼ばれています。
ファンはSuper Chatを購入することで、チャット内で自分のメッセージを目立たせることができます。また、Super Stickersを購入することで、チャット内に表示されるアニメーション画像を使用することができます。
いずれもGoogle所定の決済システム手数料が支払い前の
報酬から差し引かれます
ショッピング
YouTubeの動画内で商品を紹介する機能を利用すると、
Shopifyなどのショップサービスと連携して収益を上げることができます。
動画内には、指定した商品の情報を表示することができます。また、視聴者を購入ページへと誘導することも可能です。この機能を使えば、動画の途中や終了画面に商品情報を表示したり、動画の概要欄にも表示することができます。
YouTube Premiumの分配金
YouTube Premiumは、月額1180円で広告なしで動画を楽しむことができる有料プランです。
しかし、このプランによって得られる収益の一部は、動画配信者に分配されます。
分配金の金額は、YouTube Premiumメンバーの動画再生時間に基づいて決定されます。
つまり、YouTube Premiumメンバーによる視聴回数が多いほど分配金の金額も大きくなります。
YouTubeパートナープログラムの加入条件
YouTubeパートナープログラムには、Googleアドセンスとは異なる独自の加入条件があります。
YouTubeパートナープログラムの加入条件は非常に厳しく、多岐にわたっています。
特に、利用資格を満たすことは、YouTube収益化の最大のハードルとなっています。利用資格のクリアとチャンネル審査の通過が必要です。
利用資格のクリア
YouTubeパートナープログラムの利用の大きな壁が利用資格です。
特に重要なのが
- チャンネル登録者1000人以上
+ - 「過去12か月の動画総再生時間4000時間以上」または
「直近90日間の有効な公開ショート動画の視聴回数1,000万回」のいずれ
の2つとなります。
YouTubeで公開されているチャンネルや動画の中で、この条件を満たすものはほんのわずかであり、
YouTube収益化を目指す際には、まずこの2つの条件をクリアすることが重要です。
ただし、1000人以上のファンを獲得するには簡単ではなく、高品質な動画を長期間にわたって安定して提供する必要があり、そのために多くの人が挫折しています。
さらに、登録者の年齢が18歳以上であることも利用資格の条件とされています。
チャンネル審査の通過
上述の条件を満たすと、そのチャンネルは審査申請が可能になります。
チャンネルの審査では、広告に適しているかどうかを人間の目で確認します。
審査基準は「広告掲載に適したコンテンツガイドライン」として公開されており、
暴力やアダルトコンテンツなどが含まれていないか厳しく審査されます。
チャンネル審査の結果は通常数日で通知されますが、一ヶ月近くかかることもあるようです。
二番煎じのような似通ったコンテンツを配信する場合は
再利用されたコンテンツとして判定されないように気を付ける必要があります
YouTubeパートナープログラムを開始するまでの手順
YouTubeパートナープログラムで利用資格をクリアした後、次のチャンネル審査に進む前に、
YouTube向けアドセンスアカウントとYouTubeチャンネルを紐付ける設定が必要です。
この設定について、YouTube向けアドセンスアカウントとGoogleアカウントを紐づける手順をご紹介します。
この時Youtube向けアドセンスアカウントが持っていない場合自動的に作成されます
STEP1:登録者数と動画総再生時間の条件をクリア
YouTubeパートナープログラムへの登録は、YouTubeのプロフィールのメニューの中にある
「YouTube Studio」で行います。
YouTube Studioのメニューで「収益受け取り」を開くと、
チャンネルの現時点での登録者数と動画総再生時間が表示されます。
「参加条件を満たしたら通知する」を設定すると、YouTubeのチャンネルが「登録者1000人以上」かつ「過去12か月の動画総再生時間4000時間以上」または「直近90日間の有効な公開ショート動画の視聴回数1,000万回」いずれかの条件を満たした時点で、メールで通知が届きます。
上記の2つの条件を満たすと、YouTubeパートナープログラムへの「申し込む」ボタンが有効になります。
STEP2:YouTubeパートナープログラムへの申請
「申し込む」ボタンをクリックしたら、パートナープログラムの利用規約で「開始」をクリック、
2箇所のチェックボックスを有効にした上で、「規約に同意する」をクリックしましょう。
STEP3:YouTube向けアドセンスアカウントとの紐付け設定
次に、YouTube向けアドセンスアカウントとの紐付け(関連付け)の設定に入ります。
Googleアドセンスのアカウントの有無を尋ねられるので、「はい」と「いいえ」で答えましょう。
既に持っている場合は、そのGoogleアカウントを選択するだけでOKです。
持っていない場合には、Googleアカウントを指定した上で、
Googleアドセンスの初期設定に必要な個人情報や金融機関の情報の登録を進めましょう。
初めてGoogleアドセンスの登録を行う場合、紐付けに数日の時間がかかります。
STEP4:YouTubeチャンネルの審査
YouTube向けアドセンスの紐付けの設定が完了すると、YouTubeチャンネルの審査が始まります。
これは前章で触れた通り、YouTubeチャンネルで公開されている動画がコンテンツガイドラインに抵触していないかどうかを、人間の目視によってジャッジします。
この審査には時間がかかることがあるので結果が出るまで気長に待ちましょう。
STEP5:YouTube広告の設定
審査を無事通過するとYouTubeパートナープログラムを利用できるようになります。
さっそく、YouTubeの動画に掲載する広告のデフォルトの設定を登録しましょう。
「オーバーレイ広告」「スポンサーカード」「スキップ可能な動画広告」などの中から、有効にしたい広告のチェックボックスを選択します。
また、既にYouTubeに公開済みの動画にも広告を適用して収益化したい場合は、「どの動画を収益化しますか」で「すべての既存の動画」を選択しましょう。
STEP6:YouTubeパートナー報酬の受け取り
YouTubeパートナープログラムで発生した収益は、YouTube向けアドセンスを通じて受け取れます。
YouTube向けアドセンスでは、YouTubeパートナープログラムの収益の各収益機能の収益が合算され、
毎月21日〜26日の間に指定した金融機関の口座に振り込まれるルールとなっています。
ただし、収益が登録した口座に振り込まれるのは、合計額が8000円以上になったときで、
それ未満の場合は翌月以降に繰り越されます。
現在アドセンスの各プロパティーとYouTube向けアドセンスの収益は合算不可(独立アカウント)となっています。
まとめ:YouTube向けアドセンスとGoogleアドセンスは完全に別
今回は、Googleアドセンスと比較しながら、YouTubeパートナープログラムとYouTube向けアドセンスについて解説しました。
YouTubeパートナープログラムは、Googleアドセンスと同様に「広告収益を金融機関に振り込む機能」を持っていますが、実際には別のものです。
しかし、YouTubeパートナープログラムを利用するためには、Googleアドセンスへの登録が必要となるため、少し分かりにくい構造となっています。
これを理解しやすい形にしたのが
「YouTube向けアドセンス」という解釈です
GoogleアドセンスとYouTubeパートナープログラムのそれぞれの機能をしっかり理解すれば、初期設定のトラブルは避けられるので、本記事を参考に、両者の違いを把握した上で、登録に望むようにしましょう。
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